ptosis surgery
眼瞼下垂の治療

眼瞼下垂とは

眼瞼下垂(がんけんかすい)は、上まぶたが正常な位置よりも下がってしまう状態を指します。

この状態は視力の低下や日常生活に支障をきたすことがあり、特に読書や車の運転など視覚を必要とする活動において大きな影響を及ぼします。また、眼瞼下垂は見た目の問題だけでなく、眼精疲労や頭痛の原因にもなり得ます。これにより、日常生活で不便を感じることが多く、適切な診断と治療が重要です。

眼瞼下垂症

眼瞼下垂はなぜ起こる?

 

眼瞼下垂の原因は多岐にわたります。主な原因は以下の通りです。

  • 加齢: 年齢を重ねると筋肉や腱膜が緩み、まぶたが下がることがあります。特に60歳以上の高齢者に多く見られますが、早ければ40代から症状が現れることもあります。
  • 先天性: 生まれつき眼瞼挙筋が弱い場合、幼少期から眼瞼下垂が見られることがあります。この場合、片目のみならず、両目に症状が現れることもあります。
  • 外傷: 目やまぶたへの外傷が原因で発症することがあります。例えば、交通事故やスポーツによる怪我などが挙げられます。
  • 神経疾患: 筋無力症などの神経疾患が眼瞼下垂を引き起こすことがあります。これらの疾患は、神経と筋肉の接合部に問題を引き起こし、まぶたを上げる力が弱まることがあります。
  • コンタクトレンズ性: 長期間のハードコンタクトレンズの使用が眼瞼下垂の原因となることがあります。レンズの装着や取り外しの際にまぶたを頻繁に触れることで、まぶたの筋肉や腱膜に負担がかかり、眼瞼下垂を引き起こすことがあります。
眼瞼下垂
眼瞼下垂
健康な人(左)はまぶたの中の挙筋が収縮することで、目を開けることができます。
しかし、眼瞼下垂では、挙筋群が変性、繊維化、萎縮などによって後退して目を開きにくくなります。
眼瞼下垂

眼瞼下垂の治療法

眼瞼下垂の治療には手術が一般的です。以下の術式があります。

挙筋短縮術

眼瞼挙筋自体を短縮する手術です。まぶたの重さが大きく、他の方法では効果が薄い場合に適しています。この手術は正確な技術が求められますが、効果は非常に高いです。

ミュラータッキング

眼瞼挙筋を短縮し、腱膜を強化する方法です。この手術は術後の回復も早く、数日で日常生活に戻ることが可能です。 

挙筋腱膜前転術

眼瞼挙筋の位置を前方に移動させることで、まぶたを持ち上げる手術です。この方法は、まぶたの動きを自然に保つことができるため、美容的にも優れています。術後のケアとしては、まぶたを休めるために数日の安静が推奨されます。

前頭筋吊り上げ術

前頭筋を利用してまぶたを持ち上げる手術です。これは、眼瞼挙筋がほとんど機能しない場合に使用される方法です。前頭筋を使うことで、まぶたを引き上げる力を補います。

 

眼瞼下垂術式
眼瞼下垂術式

 挙筋群短縮術について

  • 日常生活において最も多くみられる眼瞼下垂は、加齢やハードコンタクトレンズ長期使用で見られる腱膜性眼瞼下垂である。眼瞼挙筋の働き自体は保たれているにもかかわらず、挙筋群に変性・線維化・萎縮などを生じ、挙筋腱膜が本来付着している瞼板から離れ、後方へ偏位している。
  • 眼瞼下垂に対する手術には様々な術式があり、上眼瞼挙筋単独での前転術やMuller筋を瞼板にタッキングするMullerタッキング、さらには挙筋腱膜とMuller筋の両者を短縮する挙筋群短縮術などがある。どのような患者にどの術式を適応するかは術者によって幅があり、議論の尽きないテーマではあるが、挙筋群短縮術は他の術式と比較しもっとも適応の幅が広く、高度の眼瞼下垂や挙筋機能の比較的弱い患者(挙筋機能が5-9mm程度)にも適応できる。
  • この術式の利点の一つに、挙筋腱膜とMuller筋の両方の力により開瞼幅を矯正するため、他の術式よりも少ない前転量で十分な眼瞼挙上が得られることがあります。前転量が少ないので、術後の閉瞼不全やそれに伴って生じる角結膜障害を最小限に抑えることができます。

当院の眼瞼下垂手術の特徴

眼瞼下垂手術の術式と手術例

当院では、組織学的に正しい位置に修正することで、自然な見た目と機能回復を目指しています。最新の技術と経験豊富な医師による精密な手術を提供し、患者様一人ひとりに最適な治療を行います。手術前には詳細なカウンセリングを行い、患者様の不安を解消するとともに、術後のケアも万全に行います。また、最先端の設備を導入し、安全かつ効果的な治療を実現しています。

執刀医の紹介


眼科専門医 宮下 翔平

私は慶應義塾大学病院眼科学教室に入局してから、済生会中央病院、川崎市立川崎病院にて白内障手術、硝子体手術を含めて臨床眼科診療を行ってきました。

また眼科専門医を取得してからは、聖隷浜松病院 眼形成眼窩外科に国内留学をし、主に眼形成、涙道の分野の手術の研鑽を積んで参りました。2024年4月頃からは眼形成、涙道の手術と外来診療を担当させて頂くとともに、慶応義塾大学病院にて非常勤講師として眼形成専門外来及び手術を担当させて頂いております。

これまでの経験をもとに、正確で丁寧な診断、治療および専門の手術を提供し、皆様に貢献したいと思いますので何卒宜しくお願い致します。

症例写真集

眼瞼下垂手術 症例
眼瞼下垂手術

手術時間や費用について

眼瞼下垂手術費用は、術式や保険の適用状況により異なります。当院では「保険診療」と「自費診療」の両方で対応が可能です。

挙筋短縮術や挙筋腱膜前転法の場合、手術時間は約1時間です。手術後は短時間の休憩を経て帰宅可能です。費用については以下の通りです。

保険診療

眼瞼下垂の手術は、視力や視界に影響を与えるため、保険適用が可能です。

 挙筋短縮術あるいは挙筋腱膜前転法の場合

  • 3割負担の場合: 両眼で約60,000円
  • 1割負担の場合:両眼で約20,000円

自費診療

皮膚のたるみなど、「対面時の印象」、「審美面」の側面も考慮したい方には自費診療による治療提供も対応しております。審美面保険適用外となるため自費となります。費用は術式により変わってきます。

 費用:両眼 300,000円〜

 

よくあるご質問
Q 手術中に痛みはありますか?
手術中は局所麻酔を使用しますので、痛みを感じることはほとんどありません。麻酔の注射時に軽い痛みを感じることがありますが、それ以降は無痛で手術が進行します。
術後、1時間弱で痛み止めの効果が消失しますので、痛み止めの内服薬を使用します。
Q 手術後はの帰宅については?
手術後、短時間の休憩後に帰宅可能です。帰宅後は、なるべく安静に過ごし、まぶたに負担をかけないよう心掛けてください。手術終了時に、上まぶたにガーゼをあてます。眼帯を隠すのであれば、サングラスや帽子の用意をお勧めします。
Q 術後の通院について
基本的に、翌日と1週間後は受診いただき、1週間後に抜糸を行います。
その後の経過観察は個々の状態に応じて行います。定期的な通院で、術後の経過を確認し、必要なケアを行います。
Q 運動はいつからできますか?
術後48時間は「腫れる時期」で運動すると腫れが悪化しますので、控えてください。
それ以降は、軽い運動は可能になります。汗をかくようなある程度の強度のある運動は、術後1週間での抜糸後になります。
筋トレなど、に関しては、しっかりと傷が固まる術後3週間以降をお勧めしています。
Q 腫れますか?
術後には多少の腫れが生じますが、数日から1週間程度で収まります。腫れを早く引かせるためには、冷却や適切なケアが重要です。医師の指示に従ってケアを行ってください。

眼瞼下垂手術について

当医院は、先端の手術設備を整えており、より安全で患者さまの負担の少ない手術を実現しております。

診察

ご相談のうえ、手術日を決めます。
同時に手術前検査、手術説明の日程も決定します。
眼球の検査、および採血や血圧を測り、全身の健康状態を調べます。

手術説明

手術前検査の結果、問題がなく手術が可能と診断された方には手術に関することについて説明させていただき、質問にお答えします。
手術当日の来院時刻を決定します。
また目薬をお渡ししますので、指示通りに点眼してください。

手術当日

原則として、開始予定時刻の60分前にご来院をお願いします。
手術にかかる時間は60分程度です(術式によって異なります)。

手術後は短時間休憩をとっていてから帰宅となります。

手術後の安静度

自宅に帰られたあとは特に寝ている必要はありませんが、力の入ることはせず、ゆっくりとお過ごしください。
多少日常生活での行動に制限がありますので、ご相談ください。

手術後の通院

翌日、1週間後に診察させていただきます。通常1週間後に抜糸となります。

その後定期的な通院で、術後の経過を確認し、必要なケアを行います。