
白内障とは?
【40代からの目の悩み】老眼と白内障、実は"兄弟"だった?水晶体の変化と最新治療「多焦点眼内レンズ」を専門家が徹底解説!
「最近、スマホの文字が見えづらい…」
「メニュー表を思わず遠ざけてしまう…」
40代を過ぎた頃から、多くの方が経験するこのお悩み。そう、老眼(老視)です。そして、もう少し年齢を重ねると気になってくるのが白内障。
実はこの二つ、まったく別の病気だと思われがちですが、原因をたどると同じパーツの老化に行き着く、いわば"兄弟"のような関係なのです。
今回は、そんな老眼と白内障の深〜い関係と、それを一気に解決できる可能性を秘めた最新の治療法について、患者様に寄り添う形で詳しく解説していきます!
1. 👁️ すべての鍵を握る!カメラのレンズ役「水晶体」
まず、私たちの目の中で非常に重要な働きをしている「水晶体(すいしょうたい)」についてお話しします。
水晶体は、目の中にある直径9mm、厚さ4mmほどの透明なレンズです。
役割①:光を集める 外から入ってきた光を屈折させて、目の奥にあるフィルム役の「網膜(もうまく)」にピントを合わせます。
役割②:ピントを調節する 水晶体は、まるでグミのように柔らかい組織でできています。近くを見るときは、周りの筋肉(毛様体筋)が緊張して水晶体を厚くし、遠くを見るときは筋肉が緩んで薄くなります。
この厚みの変化によって、私たちは無意識のうちに様々な距離にピントを合わせることができているのです。まさに、_「天然のオートフォーカスレンズ」_ですね!
2. 🧐【深掘り解説①】老眼の正体:水晶体が「硬くなる」こと
では、なぜ老眼になるのでしょうか?
それは、加齢とともに水晶体が弾力を失い、硬くなってしまうからです。
若い頃はあんなに柔らかかったグミが、時間が経つとカチカチになってしまうのを想像してみてください。それと同じで、年齢とともに水晶体の中のたんぱく質が変化し、硬化していきます。
すると、いくら周りの筋肉が「厚くなれー!」と頑張っても、硬くなった水晶体は十分に厚みを変えることができません。特に、一番頑張って厚くならないといけない「近くを見るとき」のピント調節が困難になります。
これが、老眼の正体です。
つまり老眼とは、病気というよりも「水晶体のピント調節機能が衰えた状態」を指す、自然な老化現象なのです。
3. 🌫️【深掘り解説②】白内障の正体:水晶体が「濁ること」
次に、白内障についてです。
白内障は、硬くなった水晶体がさらに変化して、白く濁ってしまう状態を指します。
原因は老眼と同じく、加齢による水晶体のたんぱく質の変化です。最初は硬くなるだけ(老眼)だったのが、さらに時間が経つと、たんぱく質が変性して濁りを生んでしまうのです。
透明だったはずのレンズが、すりガラスのようになってしまうイメージです。
そのため、以下のような症状が現れます。
視界が全体的にかすむ、ぼやける 光がまぶしく感じる(特に夜間の対向車のライトなど)
- 物が二重、三重に見える
- 色がくすんで見える
つまり、老眼と白内障の関係を時系列で整理すると…
【水晶体の老化プロセス】
- 弾力を失い、硬くなる → ピント調節がしづらくなる (老眼)
- さらに変化が進み、白く濁る → 光が通りにくくなり、かすんで見える (白内障)
このように、「水晶体の老化」という一本の線路の上で、先に「老眼」という駅があり、終着駅として「白内障」が待っている、と考えると分かりやすいかもしれません。
4. ✨ 一石二鳥の最新治療!「多焦点眼内レンズ」という選択肢
「老眼も白内障も、原因が同じなら一緒に治せないの?」
そう思われた方、その通りです!それを可能にするのが、白内障手術で用いられる「多焦点眼内レンズ(たしょうてんがんないレンズ)」です。
◆ 白内障手術とは?
白内障手術では、濁ってしまった自分の水晶体を取り除き、その代わりに人工の「眼内レンズ」を挿入します。この手術は非常に安全性が高く、日本で年間150万件以上行われています。
◆ 人工レンズで「老眼」も解決!
ここがポイントです!挿入する眼内レンズには種類があり、その選び方によって術後の見え方が大きく変わります。
単焦点眼内レンズ(従来の選択肢)
- ピントが合う距離は1ヶ所のみ(遠く、中間、近くなどから選ぶ)。
- 例えば「遠く」に合わせると、遠くはハッキリ見えますが、近くのスマホや本を読むときには老眼鏡が必要になります。
- 保険適用のものが主流です。
多焦点眼内レンズ(新しい選択肢)
- レンズの構造が特殊にデザインされており、遠くと近くの両方、あるいは遠く・中間・近くの3ヶ所など、複数の距離にピントが合うように作られています。
- これにより、手術後はメガネを使う頻度を大幅に減らし、多くの場合はメガネなしで生活できるようになります(裸眼での生活を目指せます)。
- 老眼と白内障を同時に治療できる画期的な選択肢と言えます。
◆ 多焦点眼内レンズの注意点
夢のようなレンズですが、いくつか知っておくべき点もあります。
- 見え方の質:夜間に光の輪やまぶしさ(ハロー・グレア)を感じることがあります。多くは時間とともに慣れていきます。
- 費用:選ぶレンズによっては、保険適用外(自費診療や選定療養)となり、費用が高くなる場合があります。
- 適応:目の状態やライフスタイルによっては、多焦点眼内レンズが合わない方もいらっしゃいます。
どのレンズが自分に最適かは、手術前の詳しい検査と、医師との丁寧なカウンセリングで決めることが何よりも大切です。
✅ まとめ
いかがでしたでしょうか?
- 老眼は、水晶体が硬くなって起こるピント調節の衰え。
- 白内障は、その水晶体がさらに濁って起こる見え方の質の低下。
- どちらも「水晶体の老化」が原因の、密接な関係にあります。
- 白内障手術で「多焦点眼内レンズ」を選べば、白内障と老眼を同時に治療し、メガネへの依存度を減らせる可能性があります。
40代を過ぎてからの目の変化は、誰にでも訪れる自然なことです。不安に思うだけでなく、今は素晴らしい治療の選択肢があることを知っていただけたら嬉しいです。
この記事が、ご自身の目の状態を理解し、前向きに治療と向き合うきっかけになれば幸いです。気になることがあれば、ぜひお近くの眼科専門医にご相談くださいね。