
そのバラ、あなたには何色に見える?J・ドルトンと知る"色の個性"の世界 🔬
【色の見え方チェックリスト】そのバラ、本当に「赤」? J・ドルトンと知る"色の個性"の世界 🔬
こんにちは!😊
赤や黄色に色づく木々の葉、秋空とのコントラストが美しいコスモスのピンク…私たちの周りは、本当に美しい色で溢れていますね。
でも、ふと考えたことはありませんか?
「私が『赤』だと感じているこの色は、隣にいる人にも、本当に同じ『赤』に見えているのだろうか?」と。
「もしかして、自分だけ色の見え方が違うのかも…?」
そんな風に、ほんの少しだけ不安に感じた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
ご安心ください。それはあなただけの悩みではありません。
今回は、その素朴で哲学的な問いに、自らの「目」をもって科学的に向き合った一人の偉人、ジョン・ドルトンの物語を通して、奥深い「色の個性」の世界にご案内します。
🔍もしかして…?色の見え方セルフチェック
本格的な話に入る前に、簡単なチェックをしてみましょう。
- 特定の色(特に赤や緑、茶色など)が見分けにくいと感じることがある。
- 焼肉の焼け具合が分かりにくい。
- みんなが「きれいな虹だ」と言っていても、色の数が少なく見える。
- 色を使った地図やグラフを読み解くのが少し苦手。
一つでも当てはまる方は、ドルトンと同じ「色の個性」を持っているかもしれません。
「ピンクの花」が「青」に見えた化学者
18世紀イギリスの化学者、ジョン・ドルトン。彼は「近代原子論の父」として科学の教科書に名を残す偉大な人物です。しかし、彼はもう一つの分野の先駆者でもありました。
ある時、植物学を愛好していたドルトンは、とある花の色について、昼間の太陽光の下では「ピンク」に見え、夜のろうそくの光の下では「スカイブルー」に見えることに気づきました。しかし、周りの人々に聞いても「どちらも赤系に見える」と言うばかり。
彼は、自分と兄が、他の多くの人々とは色の見え方が違うらしい、という事実に気づきます。
特に「赤」と「緑」の区別が難しいこと、そして鮮やかな赤色の靴下を、母親への贈り物として「地味で真面目な色だ」と思って買ってしまい、驚かれたという有名なエピソードも残っています。
個人的な謎から、科学の世界へ
単なる「気のせい」で終わらせず、その原因を科学的に解明しようとしたのが、ドルトンが偉人である所以です。
彼は、自分自身の目の中にある液体(硝子体)が青色に着色していて、それがフィルターの役割を果たしているのではないか、という仮説を立てました。(※この仮説は、彼の死後の献眼によって誤りであると証明されましたが、その探求心は本物でした)
🎨「色のセンサー」の仕組み
現代の医学では、色の見え方の違いは、目の奥の網膜にある**「錐体(すいたい)細胞」という"色のセンサー"**のタイプの違いによって起こることが分かっています。
この色のセンサーには、主に「赤」「緑」「青」の光を感じる3つのタイプがあります。
私たちの脳は、この3つのセンサーからの情報を組み合わせて、まるで絵の具を混ぜるように、多彩な色を認識しているのです。
ドルトンのように特定の色が見分けにくいのは、この「赤」や「緑」を感じるセンサーの働きが、他の多くの人(典型色覚)と少しだけ違うため。いわば、色の感じ方が個性的なだけなのです。
「異常」じゃない、個性としての「色覚多様性」へ
かつては「色盲」や「色弱」といった言葉で、少しネガティブなイメージがあったかもしれません。
でも、これは能力の優劣では全くありません。
実は、日本では男性の約20人に1人、女性の約500人に1人が、典型色覚とは異なる色の見え方をしています。クラスに1人か2人はいる計算ですね。決して珍しいことではないのです。
そのため、近年ではこれを病気や異常ではなく、一人ひとりが持つ個性的な「特性」として捉え、「色覚多様性(しきかくたようせい)」と呼ぶことが増えてきました。
自分の「色の個性」を知ってみませんか?
多くの方は、日常生活で特に大きな不便を感じることなく過ごしています。
でも、ご自身の色の見え方のタイプを知っておくことは、自分自身をより深く理解し、世界をより楽しむための、素敵なきっかけになるかもしれません。
例えば、洋服選びやデザインの仕事など、色選びが楽しくなったり、苦手だと思っていたことが、実は「色の個性」のせいだったと分かり、スッキリすることもあります。
当院では、石原式色覚検査表という、カラフルな点の中から数字や記号を読み取るだけの簡単な検査で、あなたの「色の個性」のタイプをお調べすることができます。
🌈 まとめ:あなたの世界は、もっとカラフルになる
一人の化学者の科学的な好奇心が、彼自身の「違い」を、世界中の人々が自分自身を理解するための素晴らしい「知識」に変えました。
世界は美しい色で満ちており、その色の楽しみ方は一つではありません。
あなたの見ている世界は、あなただけのかけがえのない、特別なものです。
ご自身の「色の個性」について少しでも興味が湧いたら、ぜひお気軽に当院へご相談ください。
自分の見え方を知ることで、世界はもっと面白く、もっとカラフルに見えてくるかもしれませんよ。🎨