
「物がゆがんで見える」は要注意!黄斑浮腫(おうはんふしゅ)とは?症状・原因・最新の治療法を徹底解説
👁️「物がゆがんで見える」は要注意!黄斑浮腫(おうはんふしゅ)とは?症状・原因・最新の治療法を徹底解説
📖 はじめに:あなたのその症状、もしかして黄斑浮腫かも?
「最近、物がゆがんで見えるようになった...」
「中心がぼやけて、まっすぐな線が波打って見える...」
「視界の真ん中が暗くて見えにくい...」
もし、このような症状を感じていらっしゃるなら、それは黄斑浮腫(おうはんふしゅ)という目の病気のサインかもしれません。
黄斑浮腫は、目の中心部にある「黄斑」という組織がむくんでしまう病気です。放置すると視力が低下してしまう可能性もありますが、ご安心ください。近年、治療法が大きく進歩し、適切な治療を受けることで視機能を回復・維持できるようになっています。
この記事では、黄斑浮腫の症状から原因、最新の治療法まで、分かりやすくご紹介します。少しでも気になる症状がある方は、ぜひ最後までお読みください。
1.黄斑浮腫とは:目の中心で起こる「むくみ」の正体
🌟 黄斑って何?なぜ重要なの?
黄斑浮腫を理解するために、まず「黄斑(おうはん)」について知っておきましょう。
黄斑とは、網膜(目の奥にある、光を感じる組織)の中心部にある、わずか数ミリの小さなエリアです。しかし、この小さなエリアには、視細胞(光を感じる細胞)が最も集中しており、私たちが物を見る上で最も重要な役割を担っています。
- 中心視力:色や形を識別する、いわば「見る力の中心」
- 細かいものを見る:文字を読む、人の顔を見る、細かい作業をする
- 色を識別する:鮮やかな色彩を感じる
つまり、黄斑は「見る力の要」とも言える、非常に重要な部位なのです。
💧 黄斑浮腫とは?
黄斑浮腫(おうはんふしゅ)とは、この重要な黄斑が、水分によってむくみ、腫れてしまう状態を指します。
まるで、足がむくむように、目の中心部が「むくんで」しまうのです。ただし、足のむくみと違うのは、黄斑のむくみは視力に直接的な影響を与えるということ。黄斑が腫れることで、中心視力に深刻な影響が出てしまいます。
特に、水分が「嚢胞(のうほう)」という小さな袋状に溜まることから、嚢胞様黄斑浮腫(CME: Cystoid Macular Edema)と呼ばれることもあります。
2.こんな症状があったら要注意!黄斑浮腫の3つのサイン
黄斑浮腫になると、以下のような症状が現れます。一つでも当てはまる場合は、早めに眼科を受診することをおすすめします。
🔍 症状1:視力低下(中心がぼやける・かすむ)
黄斑がむくむと、中心視力が低下します。具体的には:
- 中心がぼやけて見える
- かすんで見える
- 視力が急に下がったように感じる
🔍 症状2:変視症(物がゆがんで見える)
黄斑浮腫の特徴的な症状の一つが、変視症(へんししょう)です。
- 直線が波打って見える:方眼紙やドアの枠など、まっすぐな線が波打つように見える
- 物の大きさが違って見える:実際より大きく見えたり、小さく見えたりする
- 物が歪んで見える:人の顔や文字が歪んで見える
この「直線が波打つ」症状は、黄斑浮腫の典型的なサインです。もし、このような症状を感じたら、すぐに眼科を受診してください。
🔍 症状3:中心暗点(視界の中心が暗い・見えない)
黄斑がむくむと、視界の中心部分が暗く、見えにくくなります。
- 視界の真ん中が暗い
- 中心部分が見えない
- 見ようとすると、その部分だけが欠けて見える
3.黄斑浮腫を引き起こす主な原因疾患
黄斑浮腫は、単独で発生するのではなく、様々な目の基礎疾患や身体の病気の結果として発症します。原因を知ることで、予防や早期発見につながります。
📋 原因疾患一覧
原因疾患 | 詳細とポイント | 特に注意が必要な方 |
|---|---|---|
糖尿病黄斑浮腫(DME) | 糖尿病の合併症である糖尿病網膜症が進行し、黄斑部の血管から血液成分や水分が漏れ出すことで生じます。糖尿病がある方の約10%に発症すると言われています。 | 糖尿病をお持ちの方、特に血糖コントロールが不良の方 |
網膜静脈閉塞症 | 網膜の静脈(血液を運ぶ血管)が詰まることで、血液や水分が黄斑部に漏れ出し、浮腫を引き起こします。特に分枝静脈閉塞症(血管の一部が詰まる)で多く見られます。 | 高血圧、動脈硬化がある方、50代以上の方 |
炎症性疾患 | ぶどう膜炎などの目の内部の炎症疾患が原因で、血管の透過性(血管から水分が漏れやすくなる性質)が高まり、黄斑に水分が滲み出ます。 | ぶどう膜炎などの炎症性疾患をお持ちの方 |
術後黄斑浮腫 | 白内障手術など、眼内手術の後にごくまれに一時的な黄斑浮腫が生じることがあります。大多数の場合は時間の経過や炎症の鎮静とともに自然に回復するため、過度な心配は不要です。ごく一部で治療が必要となるケースもありますが、定期的な診察で十分に対応できますのでご安心ください。 | 白内障手術を受けた方(特に術後1〜3ヶ月、ただし発症頻度は非常に低いです) |
💡 特に注意が必要な方
- 糖尿病をお持ちの方:症状がなくても、定期的な眼科検診が重要です
- 高血圧・動脈硬化がある方:網膜静脈閉塞症のリスクが高まります
- 白内障手術を受けた方:まれではありますが術後に黄斑浮腫が起こることもあるため、念のため経過観察を受けておくと安心です
4.診断方法:最新の検査機器で「むくみ」を見つける
黄斑浮腫の診断には、主に光干渉断層計(OCT: Optical Coherence Tomography)という最新の検査機器が用いられます。
🔬 OCT検査とは?
OCTは、網膜の断面図を非侵襲的(痛みがなく、体に負担をかけない)に、高精度で撮影できる検査です。
- 黄斑の厚みを正確に測定
- むくみの状態を詳細に把握
- 治療効果を確認
まるで、目の「CTスキャン」のようなイメージです。この検査により、黄斑浮腫の有無や程度を正確に診断することができます。
📊 その他の検査
- 視力検査:視力の低下を確認
- 眼底検査:網膜の状態を観察
- アムスラーチャート:変視症(物がゆがんで見える症状)の程度を確認
5.最新の治療アプローチ:3つの治療法で視機能を守る
黄斑浮腫の治療は、原因疾患の治療と同時に、むくみそのものを解消し、視機能の回復・維持を目指します。近年、治療法が大きく進歩し、多くの患者さんが視機能を回復できるようになっています。
💉 治療法1:硝子体注射(現在の主流治療)
現在、黄斑浮腫に対する主流な治療法が、硝子体注射です。目の中に直接薬を注射することで、むくみを解消します。
抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬
- 仕組み:浮腫を引き起こす原因物質の一つであるVEGF(血管内皮増殖因子)の働きを抑える薬剤を眼内に注射します
- 効果:特に糖尿病黄斑浮腫(DME)や網膜静脈閉塞症に伴う浮腫に高い効果を発揮します
- 治療頻度:通常、月1回程度の注射を数回繰り返します(症状により異なります)
ステロイド薬
- 仕組み:炎症を強く抑える効果があり、炎症性、あるいは他の治療に抵抗性の黄斑浮腫に用いられます
- 効果:長期間効果が持続するタイプもあります
- 適応:抗VEGF薬が効かない場合や、炎症が強い場合に検討されます
ご安心ください:硝子体注射は、点眼麻酔で行うため、痛みはほとんどありません。また、当院では、清潔な環境で、経験豊富な医師が安全に実施しています。
🔆 治療法2:レーザー光凝固術
浮腫の原因となっている血管からの漏出を防ぐ目的で、レーザーを照射します。
- 効果:特に糖尿病黄斑浮腫(DME)では、周辺網膜の治療にも用いられます
- 適応:硝子体注射と併用することもあります
🔪 治療法3:手術(硝子体手術)
黄斑前膜や牽引など、黄斑部の構造的な異常が浮腫の原因となっている場合に検討されます。
- 適応:薬物治療やレーザー治療では改善しない場合
- 目的:黄斑部の構造的な問題を解決し、浮腫を解消します
6.早期発見と継続的な管理の重要性
⚠️ 放置するとどうなる?
黄斑浮腫は、放置すると不可逆的な視力低下(元に戻らない視力低下)につながる可能性があります。しかし、ご安心ください。特に近年は抗VEGF薬などの登場により、治療成績が大きく向上しています。
✅ 早期発見・早期治療がカギ
少しでも「物がゆがんで見える」「中心がぼやける」といった症状を感じた場合は、すぐに眼科専門医にご相談ください。
また、糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方は、症状がなくても定期的な眼科検診を受け、早期発見・早期治療に努めることが、視機能を守る上で最も重要です。
💪 治療を続けることの大切さ
黄斑浮腫の治療は、一度の治療で終わるのではなく、継続的な管理が必要な場合があります。医師の指示に従い、定期的な検査と治療を受けることで、視機能を長く維持することができます。
7.まとめ:あなたの視力を守るために
黄斑浮腫は、早期発見・早期治療により、視機能を回復・維持できる病気です。
📝 この記事のポイント
- 黄斑浮腫とは:目の中心部(黄斑)がむくんでしまう病気
- 主な症状:物がゆがんで見える、中心がぼやける、視界の中心が暗い
- 原因疾患:糖尿病、網膜静脈閉塞症、炎症性疾患、術後など
- 最新の治療:硝子体注射(抗VEGF薬・ステロイド薬)、レーザー光凝固術、手術
- 早期発見が重要:症状を感じたらすぐに眼科を受診
💖 あなたへのメッセージ
もし、この記事を読んで「もしかして...」と感じた方は、ぜひ一度、眼科専門医にご相談ください。当院では、最新の検査機器と治療法で、あなたの視力を守るお手伝いをさせていただきます。
「物がゆがんで見える」「中心がぼやける」といった症状は、黄斑浮腫のサインかもしれません。でも、ご安心ください。適切な治療を受けることで、多くの場合、視機能を回復・維持することができます。
気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。あなたの視力を守るために、私たちが全力でサポートさせていただきます。



